IoT導入を効率化できるSCADA(スキャダ)とは?
こんにちは!株式会社IXEの古賀です。今回は、製造業で注目されている「SCADA(スキャダ)」についてご紹介します。数年前にお客様向けに作成した資料を基に、インターネットで公開し、多くの方に役立てていただければと考えています。
SCADAは、長期的にIoTを推進するために欠かせないシステムであり、工場内の点在する情報を一元管理する役割を担っています。本記事では、SCADAの役割や導入のメリット、具体的な活用方法を解説します。ぜひ参考にしてください!
なぜIoT導入率はまだ14.6%なのか?
IoT(モノのインターネット化)は、モノに通信機能を持たせて情報収集や遠隔操作を可能にする技術です。日本経済研究センターによると、IoTを導入している企業はわずか14.6%で、「導入を検討している企業」を含めても3~4割にとどまっています。
課題として挙げられる要因:
- IoTの活用方法が不透明
現場でどのようにIoTを活用するのか、具体的なイメージが持てない。 - 使いこなせる人材の不足
IoT導入後の運用や保守を担う人材がいない。
これらの課題を解決する方法として注目されているのが「SCADA」です。
SCADAとは?
SCADAは「Supervisory Control And Data Acquisition」の略で、「スキャダ」と読みます。日本語では「監視制御システム」を指し、製造業や産業現場における情報収集・監視・制御を一元的に管理するシステムです。
SCADAの役割
SCADAは、生産設備(PLC/PC)とコンピュータシステムの間に位置し、以下のような情報を集約します:
- 生産実績
- アラーム情報
- 検査結果
- サイクルタイム
- 部材情報
これにより、工場内の情報を一か所で管理し、「現場の見える化」を実現します。また、多くの設備に対応できる柔軟性が特徴です。
SCADAは、各生産設備(PLC/PC)とコンピュータシステムの中間に位置するシステムです。
簡単に言えば、SCADAを導入すると、工場・施設内に点在している情報を1か所に集めて、「現場の見える化」を実現することができます。
各生産設備から送信されるアラーム、生産実績、検査実績、サイクルタイム、部材情報などの情報を受信して蓄積する機能を持っています。
また、多くの設備に対応できるよう、様々な機器と接続できるのが特徴です。
簡単に言えば、SCADAを導入すると、工場・施設内に点在している情報を1か所に集めて、「現場の見える化」を実現することができます。
SCADA導入のメリット
SCADAを導入することで、IoTの効率的な推進が可能になります。以下の具体的なメリットがあります
1. 開発の効率化
- 専門分野間の連携をスムーズに
SCADAを導入することで、各エンジニアが自分の専門分野に集中できます。例えば、電気制御を得意とするエンジニアとITエンジニアの間の技術的なギャップをSCADAが補完します。これにより、開発スピードが向上します。
2. 通信方式・開発ツールの統一
- ルールの統一による効率化
IoT化を進める際、SCADAを導入することで通信方式や開発ツールを統一できます。これにより、メンテナンス性が向上し、将来的な開発コストを削減できます。
SCADA未導入と導入の違い
SCADAを導入しなかった場合
各設備が独自のサーバーを持つと、以下のような問題が発生します:
- メンテナンス性の低下
各サーバーの仕様が異なるため、保守が煩雑になる。 - 設備間の連携の困難化
データの統一ができず、新システムの追加が複雑になる。 - コストの増加
機能追加時にサーバーごとに開発コストが発生。
その結果、各サーバーに独自の仕様が発生して、様々なデメリットを生み出します。例えば、メンテナンス性(保守性)が低下したり、各設備間の連携をしたい時に難易度が上がったりするような問題です。また全体的に同一の機能の追加をしようとした場合、サーバーごとに機能を追加する手間が発生してしまいます。各サーバーの開発元が異なる場合は、2重3重と費用が発生してしまうのも珍しくはありません。
SCADAを導入した場合
統一されたインターフェースをSCADAで中継することで、以下が実現します:
- メンテナンス性の向上
- 設備間の連携が容易に実現。
- 新システムの追加が簡単。
- 開発費用の削減と展開スピードの向上。
この結果、開発費用の削減・展開スピードの向上が期待できます。
SCADA導入の具体的なイメージ
IoTを成功させる方法として、SCADAの役割やメリットについて解説しました。SCADAは、直接的に業務を改善する仕組みではありません。IoTシステムのインフラ的な位置づけ、というのが正しい理解です。したがって長期的にIoTを推進したい場合や、将来的にスマート工場を実現したい場合に、是非導入を検討して頂きたいシステムだと言えます。
SCADAを導入すると、生産設備から送信される情報が一元管理され、IoTシステムが活用しやすいデータとして蓄積されます。
以下の情報をSCADAに送信することで、生産状況をリアルタイムで把握できます:
- 生産開始信号
- 生産終了信号
- 材料交換信号
- サイクルタイム情報
- 異常停止信号
- 製品変更信号
これらの情報に、「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「どのように」という詳細情報を付与し、SCADAで蓄積・管理。SCADAに蓄積された情報は、見える化ツールや品質記録、データ分析など、さまざまな用途で活用可能です。
1~6の情報に
- いつ
- どこで
- だれが
- なにを
- どのように
生産しているかの情報を付与して送信することがポイントです。
SCADAはIoTインフラの中核
SCADAは直接的に業務を改善する仕組みではありませんが、IoTシステムの基盤として機能し、長期的なスマート工場化を支える重要なシステムです。特に以下の状況で導入を検討する価値があります:
- 工場全体の見える化を進めたい場合
- 設備間の連携を効率化したい場合
- 将来的なスマート工場を見据えている場合
まとめ:SCADAでIoTを加速する
SCADAは、IoT化を効率的かつ長期的に推進するための強力なツールです。生産設備や工程における情報を統一管理し、効率的なシステム開発や運用を実現します。今後の記事では、「IoT技術を活用した実際のシステム事例」を詳しく紹介していく予定です。皆さまの生産性向上の一助となれば幸いです。ぜひSCADAの導入をご検討ください!
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