工場にIoTを導入する3つの方法

こんにちは!株式会社IXEの古賀です。この記事では、工場にIoTを導入したいと考えている製造業の皆さまに向けて、具体的な導入方法をわかりやすく解説します。初めての方でも理解しやすいように、代表的な手法とその特徴、メリット・デメリットを整理しました。IoT化に関する疑問や悩みがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください!

IoT導入の課題を解決しよう

「IoTを導入したい」と考え、インターネットで検索しても、パッケージや概要的な情報ばかりで、具体的に何から始めればいいのかわからないことが多いのではないでしょうか?この記事では、製造業の皆さまが工場でIoTを導入するための、具体的な手法を3つに分類し、それぞれのポイントを詳しく解説します。

代表的なIoTの3つの導入方法

製造業がIoTを導入する方法は、大きく分けて次の3つのタイプがあります。それぞれの特徴を確認し、自社に適した方法を選びましょう。

1. 単一機能パッケージ型

特定の課題を解決するためのシンプルなパッケージ製品で、既存設備に後付けで導入できるのが特徴です。
例:

  • 信号灯の情報を収集し、稼働状況を可視化。
  • 重量計を用いた在庫減少時の自動発注。

メリット

  • 簡単に導入可能で、初期投資が小さい。
  • ITに馴染みのない現場でも取り扱いやすい。

デメリット

  • 拡張性に乏しく、長期的にはスマート工場化の足かせとなる可能性。
  • 月額課金制の場合、長期運用コストが高くなる場合がある。

2. インフラパッケージ型

工場全体のIoT基盤となるパッケージソフトウェアで、複数の設備と連携可能な拡張性の高いシステムです。
このカテゴリには「SCADA(スキャダ)」が含まれ、工場の監視やプロセス制御を一元管理できます。

メリット

  • 複数設備やシステム間の連携が容易。
  • 生産管理システムやERPと統合しやすい。
  • ITエンジニアが少ない現場でも運用可能。

デメリット

  • 単純な機能だけを求める場合にはオーバースペックになる可能性。
  • 初期導入コストが比較的高め。

3. 自社開発型

IoTの受信機能から見える化システムまで、すべて自社で開発する方法です。柔軟なカスタマイズが可能で、自社仕様に完全対応したシステムを構築できます。

メリット

  • システムを柔軟に改修・調整可能。
  • ベンダー依存を避け、長期的に安定運用できる。
  • 特定の設備や生産工程に特化した制御が可能。

デメリット

  • 自社で開発・保守するため、ITエンジニアの育成や確保が必要。
  • 初期教育コストが高く、スモールスタートには不向き。

単一機能パッケージ型

単一機能パッケージ型とは、“既存設備/機器等に対し、後付で専用のセンサー等を取り付け、そのセンサーで取得した情報を可視化 または自動化するソフトウェア・製品”を指しています。

「信号灯の情報を取得し、その情報を可視化する」や、「重量計による在庫減少時の自動発注」等がこの方法に該当します。
これらの製品は特定の問題を解決するために効果を発揮します。その多くがIT技術に馴染みが無い方でも簡単に導入できるよう、取り扱いしやすいように作られています。最初の一歩としては良いのではないでしょうか。デメリットとしては、拡張性が乏しい場合が多いことです。
5年後・10年後のありたい姿にこのパッケージがシステムの中心として存在してしまうと、スマート工場化の弊害となる場合もあります。

また、想定使用期間を考慮したうえで、「自社開発した場合」と「月額課金で支払い続けた場合」を比較して、どちらがコスト面で優位性があるかも検討ポイントです。

インフラパッケージ型

IoTインフラパッケージ型とは、上記の単一機能パッケージ型と異なり、様々な工場でIoTを導入しやすく、拡張性を考慮したパッケージとなります。
具体的には“工場内のIoTシステムの中核”となるパッケージで、様々な種類の設備と接続し、データを収集・可視化するパッケージを指し下記の図のようなシステムになります。


馴染みのない言葉かもしれませんが、“SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition )”スキャダと呼ばれています。
これは、産業制御システムの一種で、コンピュータによるシステム監視とプロセス制御を集中管理するものです。

海外では普及が進んでいますが、日本では徐々に普及が進んでいる状況です。今後SCADAは普及が進んでいき、SCADAを中心としたシステム構築が行われていくでしょう。ではなぜ、SCADAを中心にシステムを構築されていくと考えるのか。
その理由は3点あります。

理由1 私がFA・IoT化を推進した経験

私は、このSCADAを用いたFAシステム・見える化システムを長期間 設計・構築し、グローバル展開してまいりました。
SCADAを使用していた理由は、すべての設備をSCADAと連携させることで、比較的簡単に見える化や自動制御を組み込む事が可能だったためです。

工場スタッフ視点においても、1つのシステム(SCADA)から様々な設備のIoTデータをダウンロードする事ができるので好評でした。
システム化されていない情報もここから取得し、実態の把握できます。プレス工程を例に上げれば、複数メーカーのプレス機の実績を同一のデータとして、可視化することももちろん可能です。

理由2 工場・工程・設備のIoT化ルールの統一

IoT化をただやみくもにすれば良いのではありません。将来スマート工場を考慮したIoT化を進めるにはルールが必要です。
それぞれの設備・工程・工場で独自にIoT化すると、最終的には保守が出来ない状態になります。その結果、IT保守費用増大/ITシステム開発時の費用の増大など、無駄な費用が発生する原因となります。

SCADAを用いて、IoT開発ルールを統一すれば独自仕様でのIoT化を防止できます。ルールに従って開発を行い、工場展開時は同一ルールで安価に横展開できます。

理由3.開発エンジニアの確保がしやすい

IoTエンジニアというのはまだまだ、IT業界でも少ないのが実情です。特にスマート工場に精通したエンジニアで絞ればもっと少ないのではないでしょうか。そのような状況下でもSCADAを使用すれば、例え工場や設備のことを知らないITエンジニアでも設備や工程のことを意識せず開発が出来るようになります。 その結果、エンジニアの確保がしやすくなり、開発費用削減にも効果を発揮しま


自社開発

自社開発型とは、これまでの記述内容と異なりIoT受信機能から見える化システムまで、すべて自社で開発する方法です。
メリットは自社で開発するのでシステムを柔軟に改修・調整できることと、パッケージ(ベンダー)に依存しないシステムを構築できるため、パッケージの廃盤など考慮せず長期間の稼働も可能です。また、ただ、ベンダーに依存せずに自社で推進していくため、短期間での導入や仕様を柔軟に調整できる場合もあります。

注意しないといけないのが、自社開発ゆえに通信仕様が独自規格となってしまいます。そのため、後から外注にて改修を行おうとしても、独自仕様のため教育が必要になる場合があります。

また、自社開発のためのITスタッフを雇用する場合も、初期教育コストが発生します。明確な将来像を描いて本自社開発IoTシステムを構築する場合においては、この方法は有効です。ただし、スモールスタートといった観点から見ると、人材育成等を考えれば、敷居は高いでしょう。

IoT導入方法のメリット・デメリット

3つの方法には、それぞれメリット(導入に適しているケース)とデメリット(導入に適していないケース)があります。

3つの方法のメリット・デメリットをご覧いただいて、IoT化する対象の重要度、費用対効果 及び 将来のあるべき姿を考慮したうえで、
どの選択を行うか判断しましょう!自社にはどの方法が適しているのかを考える参考にしてください。

SCADAを中心としたIoT化の利点

SCADA(スキャダ)は、特にインフラパッケージ型の中心として注目されています。その理由は以下の3点です:

  1. 見える化と自動制御の統合
    多様な設備のIoTデータを一元管理し、比較的簡単に見える化や自動制御を実現。
  2. ルール統一による保守コスト削減
    工場全体でIoTのルールを統一することで、保守・展開コストを大幅に削減。
  3. エンジニア確保の容易化
    工場特有の知識がなくても、ITエンジニアが開発に携われるため、人材確保が容易。

まとめ:IoT化は慎重かつ段階的に

IoT導入には、企業規模や現場の状況に応じた最適なアプローチが必要です。それぞれの方法のメリット・デメリットを理解し、自社にとって最適な手法を選択してください。

  • スモールスタートから始め、徐々に拡張。
  • 現場の負担を増やさない設計を意識。
  • 長期的な視点で、スマート工場化を見据えた計画を立てる。

今回の記事を参考に、ぜひIoT化を成功させてください!

弊社の技術記事は、良識のある範囲で断りなくリンクや引用を行っていただいて構いません。

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