製造業のIoTシステムの普及状況と具体的なIoT導入手法
こんにちは!株式会社IXEの古賀です。この記事では、製造業界の皆さまに向けて、IoTシステムの普及状況や、実際に導入を進めるための具体的な手法をご紹介します。
数年前に作成した資料を基に、最新のトレンドを反映させた内容になっていますので、ぜひご参考ください!
製造業のIoTシステムの普及状況
「他社はどこまでIoT化を実現しているの?」というご質問をよくいただきます。実際のところ、製造品や製法、工場規模によって状況はさまざまです。しかし、大量生産を行う業界(例えば自動車産業など)では、IoT技術が非常に発展しています。
IoT技術が進む企業の特徴
- 2000年前後からいち早く現場のIoT化・見える化を推進。
- 最初は局所的な生産性改善を目的とした見える化からスタート。
- 次に、工程間の相互通信による自動制御へ発展。
- 現在では、AIを用いた自動補正機能を実現しているケースも。
一方で、2020年現在でも現場作業者が100人以上いる企業でも、IoT化がほとんど進んでいない例もあります。理由はさまざまですが、「どこから始めればよいかわからない」という声が多く挙げられています。
理想とするIoT化とは?
「理想のIoT化」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?
私の考える理想のIoT化は、経営層が工場のリアルタイム情報を瞬時に把握し、最適な意思決定ができる状態です。
もちろん、立場によって理想は異なりますが、最終的には製造業で最も重要な「品質・納期・コスト」の最適化に繋がることが目標です。
IoT化の4つのステップ
理想を実現するためには、次の4つのステップが必要です:
- 生産実績値のIoT化
センサーや設備からデータを収集し、データベースに蓄積。 - 見える化
収集データをリアルタイムで分かりやすく可視化。 - システム化
設備や作業者の行動を含めた工場全体をシステム化。 - 情報連携
生産・販売・在庫管理システムと現場データを統合し、経営判断をサポート。
一般的なIoT化はステップ1~2に留まることが多いですが、ステップ4まで到達すれば、経営的な判断が大幅に効率化されます。
これからIoT化を始める工場の6つの導入方法
IoT化を始めたいと考える場合、導入手法にはさまざまな選択肢があります。以下に難易度の低い順にご紹介します。
IoT導入の6つの方法(難易度順)
- IoT機能付きの機器からデータを収集
最新設備が導入されていれば、比較的簡単に始められます。 - 現行システム(ハンディや端末)からデータを収集
既存システムを活用できるため初期投資が抑えられます。 - 外付けセンサーからデータを収集
汎用センサーを追加して特定データを収集。 - 設備付属の制御PCからデータを収集
設備メーカーの仕様に依存するため、ややハードルが高い。 - タッチパネルからデータを収集
操作ログや設定データを収集。 - 設備PLCからデータを収集
高度な技術が必要ですが、最も柔軟性があります。
下にいけば行くほど難易度は高いですが、導入できれば相応のメリットが得られます。
上記にご紹介した方法を導入するには難易度に問わず、仕様検討から導入までに準備が必要ですし、多くの工程・設備がある工場においては、その工程や設備毎にそれらを導入していく必要があります。大事なのは、いずれの手法においてもメリット・デメリットが存在し、自社の工場に適したIoTを検討・推進することが重要です。
IoT化成功の鍵:作業者の負担を増やさない
IoT化を進める際の大前提は、作業者の負担を0.1秒でも増加させないことです。
例えば、製品や中間品が完成するたびに作業者がボタンを押してデータを取得するような方法は、不適切です。
作業負担を軽減するIoTの例
- マットスイッチで作業完了情報を取得
- 光センサーで作業状況を検知
- カメラで作業状況をモニタリング
- 音センサーで動作を把握
- 付属PLCや前後コンベアから情報を収集
作業性を考慮しつつ、実験を繰り返しながら最適な方法を導入することが重要です。
IoT化は改善効果のあるところから少しずつ!
私は様々なセンサーを用いてIoT化を、実際に自動車業界の現場で、導入し、その改善をずっと行ってきました。
私がIoT化をさせていただいた企業は、現場のIoT化/スマート化を20年超継続し続けていましたし、今も続けています。
その結果作業者・設備・工場・サイズ・直などを条件に、サイクルタイム・品質等の比較分析ができるようになり、省人化・品質改善・生産性改善・トラブル削減などの様々なメリットを得ておりました。
少しずつ“改善効果がある所”からIoT化を進めていきましょう。
先ほどご紹介した導入の4ステップと、IoT化の6つの方法を参考にしてぜひ取り組んでみてください。
弊社の技術記事は、良識のある範囲で断りなくリンクや引用を行っていただいて構いません。