Meta Quest3の実力 製造業 現場目線での評価レビュー

IXEの古賀です。
今回は、話題沸騰中のMeta Quest3について、業務目線での評価をお届けします。
Meta Quest3とは
Meta社(旧Facebook)が開発したMeta Quest3は、VR(仮想現実)/MR(複合現実)を体験するためのVRヘッドセットです。通常、コンピュータで何かを見たり入力したりする場合、PCではモニターとキーボードを、スマートフォンではディスプレイを使用します。しかし、Meta Quest3では頭にヘッドセットを装着することで、PCやスマートフォンとは一線を画したバーチャルな体験が可能になります。

このようなVRヘッドセットは何年も前から存在し、多くの製品が市場に出回っています。それでも、なぜ今更Meta Quest3が話題となっているのでしょうか?その理由はカメラの性能が向上し、高解像度フルカラーによって「パススルー機能」が大幅に性能向上したことです。この機能のおかげで、ヘッドセットを装着したままでも、違和感なく歩行などが可能となっています。また、MR技術により現実に対して、何かを表示するであったり、仮想の物を配置したりする能力が大幅に向上しています。
実際にMeta Quest3 パススルー機能を用いた動画を見てみると分かりやすいです。
プライベート使用での感想
【ハードウェア面】
頭に装着したらすぐに起動・映像表示される点など、使い勝手は良いです。 サイズについても、従来品より小さくなっており、頭をぶつけるなどのトラブルも発生しずらいと感じました。頭への締め付けがあるといったネットでの意見もありますが、私はそこまで気になりませんでした。長時間付けていないからかもしれません。
私は眼鏡をかけているのですが、裸眼のまま装着するとぼやけて見えない・・・といった事態となったので、眼鏡を装着してMetaQuest3を装着しています。眼鏡越しだとやはり装着に違和感がありますが、私としては許容範囲です。気になる人は、コンタクトや度付きの加工も可能なようですので、活用してみてください。
【操作性】
PCモニタやスマートフォンに慣れた私たちにとっては、戸惑う点があると思います。VR/MRデバイスを使用したのは初めての場合、少しだけ操作を覚える必要があります。チュートリアルにて楽しく操作手順を学ぶことができるので、操作を覚えることはそう難しくは無いと感じました。慣れれば、スマートフォンと変わらない操作感で操作できますね。コントローラ または 手での操作を行います。
【プライベートで使用した感想】
映像/VR/ゲームといったエンタメ用途であれば、十分に活用できるレベルとなっています。万人にお勧め・・まではいきませんが、興味が少しでもある方にとっては十分価値があるデバイスと考えています。初期セットアップについても、難なくこなすことができました。
近い将来、本分野のデバイスはどんどん性能向上が想定されますが、このような分野に興味がある方にとって、初めてのVR/MRデバイスとして、このMetaQuest3は強くお勧めできます。
業務目線での評価
【ハードウェア】
過酷な環境/乱暴な取り扱いまでは想定されてないと思うので、丁寧な取り扱いが必要だと思います。電子機器ですので当たり前ですね。乱暴扱う破壊実験などしていないので、憶測です。
スピーカーについても、3D空間オーディオを搭載ということで、臨場感があり品質も良いです。ただ、ある程度騒音のある環境だとイヤホンが必要だと思います。

【操作性】
コントローラー不要で、手での操作が可能です。これは非常に便利です。操作さえ覚えば、作業しならがらMetaQuestを操作できるので、メリットです。濡れた手での操作はもちろんですが、手袋をつけたままの操作も試してみましたが操作できました!
【作業性/安全性】
パススルー機能が大幅に強化されて、作業性が上がったものの細かい作業等は十分に注意が必要と感じています。特に怪我等の恐れがある作業ではしない方が良いと思います。体感ですが、1~2cmの精度を要する作業は危険と判断しています。電気作業などは危ないです。今後、解像度のさらなる向上 または 近接距離での焦点精度が向上されれば、用途は大きく広がると考えています。
【バッテリー駆動時間】
バッテリー駆動時間は最大2.2時間程度と、常時使用には向いていません。純正の「Eliteストラップバッテリー付き」を付けることで、最大2時間程度は駆動時間の延長が可能です。活用するシチュエーションは、10分~60分程度のスポット的な作業での使用を想定しておくべきでしょう。 充電しながらの使用も可能ですので、充電環境のある場所で使用を想定するのであれば問題ないと思います。
製造業等の現場作業活用
MetaQuest3を業務に活用する場合、課題はまだまだあると思いますが、使用した感想を基に活用案を下記します。

安全教育・危険予知
存することが可能です。危険予知活動の映像準備に特に役立ち、基本的な機能だけで迅速に実施できると感じました。さらに、難易度は増しますが、危険なエリアの仮想環境を構築して、危険予知トレーニングのシミュレーションとしても活用可能だと考えられます。

リモートメンテナンス
MetaQuestを使用して、視点映像を遠隔地にいる熟練エンジニアとリアルタイムで共有できます。この技術により、遠隔地のエンジニアがアドバイスを提供し、現場の作業者がその指示に基づいて実際の作業を進めることが可能となります。特にMR技術を活用することで、遠隔地からの指示がピンポイントで、明確に伝えられます。さらに、高品質なスピーカーのおかげで、現場の作業者は遠隔地のエンジニアがすぐそばにいるかのような感覚でコミュニケーションをとることができます。
ただし、現在の作業性から考えると、作業中の危険性も考慮する必要があります。特に、危険を伴う可能性のある作業を行う際には、十分な注意が必要です。

品質検査
MetaQuestのパススルー機能とAR技術を活用することで、製品の不具合や欠陥をリアルタイムで自動検出し、VRヘッドセット経由で警告を出すシステムの導入が考えられます。確かに、この目的のためにはスマートウォッチや警告灯など他のデバイスがより適しているかもしれません。しかし、特定の用途や環境下では、MetaQuestの利用も有効な選択肢となる可能性があります。

作業トレーニング
手を使った実践的な作業トレーニングが可能となります。この方式は、ルーチンワークや新入社員の研修時に特に有益です。特に、スタッフの頻繁な入れ替わりが見られる作業環境で、専用のトレーニングソフトウェアと併用することで、作業の効率的な習得が期待されます。
ただ、MR技術を取り入れた作業は、作業の性質上リスクも存在するため、安全上の懸念がある作業に関しては、十分な注意と配慮が必要です。

設備レイアウト検討
3DCADデータを活用し、現場での設備設置のシミュレーションが行えそうです。
工場での新しい設備の導入を考慮する際、一般的にはその大まかな寸法に基づき、設置の可否や動線、作業性などを検討することが一般的です。この過程でMR技術を取り入れることにより、現実的なシミュレーションを行って、設置前の課題や作業性をより詳細に検討することができると考えます。
そのほか、下記の使用案も考えましたが、他のデバイスのほうが優位性あると考えました。
そのほかの使用案1.工場 生産情報や設備情報をリアルタイムに表示する案
→現状、PCやタブレットの方が優位性あると判断。
そのほかの使用案2.バーコード、QRコードなどのコード読み込み
→現状、各ハンディ端末の方が優位性あると判断。
最近は、スマートフォンを活用したLiDAR技術も発展しており、工場内3Dデータ生成して工場見学用のマップを作ってVR体験・・も面白いかもしれませんね。
結論・今後の展望
Meta Questは工場業務に多くの利点をもたらすと考えますが、安全性や作業性 及び バッテリーにはまだ課題がありそうと感じました。
とはいうものの、今後の技術発展の過程で、これらの課題は解決するのも時間の問題でしょう。
引き続き動向を見守りたい分野ですね。
それにしても、素晴らしい技術ですね。どんどん世の中が良くなってるように感じます。
IXEもソフトウェアを試作してみたり、他に活用案が無いか検討可能なよう、理解を深める必要があります。
またMetaQuest3について、何か面白いアイデアがありましたら、ご紹介したいと思います。
まずは ”即時実行”、MRソフトウェアを試作してみようと思っています。
※一部画像はMeta社「Meta Quest3」の商品ページより引用
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